ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」ヘ長調 作品68

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どこが、「田園」なのだろう。

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私はベートーベンが大好きだ。

最近では、車の運転をする時なども
ひたすらベートーベンを聞くようになってしまった。

以前はクルマの運転といえば、レッチリとか、グリーンデイとか
洋楽を流しつつ、運転するのが好みだったけど。


それにしても、ベートーベンは繰り返し聞いても全く飽きない。

一番好きなのは、カラヤン指揮の「運命」で、
500回は軽く聞いている。


今回のタイトルの「田園」は最近良く聞いている。

この交響曲は、珍しく各楽章に副題がついている。

1楽章「田園に着いた時の愉快な気分」
2楽章「小川のほとり」
3楽章「いなかの人たちの楽しい集い」
4楽章「雷雨と嵐」
5楽章「牧人の歌−嵐の後の喜ばしく感謝に満ちた気分」、と。

しかし!


私は何度聞いても、この副題を全くイメージできない!

そもそも、タイトルからして「なんで田園?」という感じだ。


これ、本当にベートーベン本人がつけた副題なのか?

彼の楽譜本稿にサラリと書いてあったそうだが、本当か?

後付けで誰かが適当に言ったのが広まったんじゃないのか?



まあ、ベートーベン本人がそう書いていた、というのが真実としよう。

だとしたら、
訳がいいかげんなんじゃないか?

ちなみに1楽章は、

Erwachen heiterer Empfindungen bei der Ankunft auf dem Lande

ウィキペディアWikipedia)では、

「田舎に到着して晴れ晴れとした気分がよみがえる」となっている。

最後の、Landeを「田舎」、と訳している。

ここを「田園」としている訳もある。
おそらくここから日本での表題が決定付けられたようだ。

しかし、

これは誤訳だ。


何度聞いても、何度聞いても、「田園風景」が想起されないからだ。


ちなみに、auf、は英語で、up、に該たる。

Lande、は、land。

der Ankunft は、接近や接着を意味する。


 
したがって、 der Ankunft auf dem Landeは

「大地の上にデクノボーのように突っ立って」のようなニュアンスだ。


この解釈で改めて聞いてみると、

一見平和っぽいけど、荒涼とした荒々しさの予感も秘めている、
繊細だけど、がさつなところもある。

そうだ。大地の息吹が感じられる曲想ではないか!


つぎに、Erwachen heiterer Empfindungen の解釈に行く。


heiterer Empfindungen、は高揚感。

Erwachen、は動詞だ。名詞ではない。
しかも命令形である。

目覚めよ!といったニュアンスで訳さねばならないはずだ。


したがって、訳は「高揚とした感情を呼び覚ませ」のようなニュアンス。



以上まとめると、1楽章の副題は、

『目覚めよ!高揚とした感情を。大地の上に突っ立って』が正解だろう。



こうして、もう一度聞いてみると。

おお確かに、これから何かが始まるような高揚感が伝わってくるじゃないか!

抑制した荒々しさ、U2(ヨシュアツリー)のような押さえ込んだ力強さ。

私の解釈が正しかったことの証明だ。



よって、タイトルの「田園」は100%誤訳だ。

この曲は『大地』がピタリとくる。

交響曲第6番「大地」、とすべきだったんだ。




参照記事

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC6%E7%95%AA_%28%E3%83%99%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%B3%29#.E7.AC.AC1.E6.A5.BD.E7.AB.A0.E3.80.8C.E7.94.B0.E8.88.8E.E3.81.AB.E5.88.B0.E7.9D.80.E3.81.97.E3.81.A6.E6.99.B4.E3.82.8C.E6.99.B4.E3.82.8C.E3.81.A8.E3.81.97.E3.81.9F.E6.B0.97.E5.88.86.E3.81.8C.E3.82.88.E3.81.BF.E3.81.8C.E3.81.88.E3.82.8B.E3.80.8D


2楽章以下はまたの機会に訳してみよう。
眠くなってしまった。。